モンゴル人と住所
モンゴルの郵便事情
モンゴルに荷物を送ったことがあるのですが、送った荷物が自宅まで届けられるということはあまりなく、郵便局に留置して連絡をもらってから取りに行っているとのこと。もちろん、ある程度の規模のマンションであれば話は別で、そのマンションの何号室、としっかり指定しておけば届けてもらえるそうです。日本でも昔は「私書箱」に届いて、それを取りに行っていたと思いますが、宅配のサービスができれば楽なのに、と思った記憶があります。
モンゴルの住所登録
そこで、「なぜ、モンゴルでは宅配サービスがあまりないのか?」と聞いたことがあります。そうして帰ってきた答えは、「モンゴルでは住所の整備がまだできておらず、正確に届けることができない。」というものでした。
日本では住民基本台帳を整理し、住所の番地等の整備を徹底して行っているため、郵便や宅配業務において困ることは然程ないでしょう。モンゴルでも同じように住所の整備をすれば物流において様々なメリットがあるのではないでしょうか。
住所整備が進まない理由
なぜ、住所の整備がうまくいかないのでしょうか。
1. ゲル地区の整理
ウランバートルの中心街から離れていくと鉄筋コンクリートの建物ではなく、伝統的なゲルが密集して建っている地区が見えてきます。いわゆるゲル地区です。中心部のアパートは、社会主義時代には国から供給されていましたが1990年の民主化以降、供給は減り価格が高騰したため、ゲル地区に多くの人が住居を構えました。2000年から2010年までの10年間で地方からの移住者の割合が27万人から59万人と増えていることから、多くの移住者がゲル地区に住むようになったことが分かります。急速に増える人口に対応しきれず、住所の整理がうまく行かなかったのは想像に難くありません。
2. 引っ越しの多さ
モンゴルの経済発展は目覚ましく、不動産の価格も上昇し続けています。日本とは違い、アパート・マンションの価格も順調に上昇しており、購入後数年で売却し、新しいアパートを購入。値上がりしたらまた売って、ということを繰り返した家庭も相当数いたと思われます。筆者の知り合いも小さい頃から6〜7回は引っ越ししたと聞いています。ウランバートル全体でこのように引越が行われていたと仮定すると、もし日本のように都度住所変更届けをしていれば、行政の負担は相当なものになるはずです。
まとめ
現在、ウランバートルは住所の整備はまだ終わっていません。解決への道のりはまだまだ険しいものであると思いますが、いかがでしょうか?解決の糸口をいろいろと考えてみても面白いと思います。